住宅のエコポイントが昨年延長され、リフォームを中心とした断熱改修が活気をおびているようです。
そんな中でも手軽にできる、内窓(インナーサッシ)の取り付けが特に好調のようです。
家の中から熱が逃げてしまう(外から熱を呼び込んでしまう)一番の部位が「窓」であり、その窓を断熱改修することは大きな効果があることは確かである。
改修前は窓に結露が発生していたのが、改修後の窓には結露がしなくなっているようだが、その裏に大きな落とし穴が潜んでいたようだ。
以下、住宅新報Webからそのことに関するニュースを転載しますが、これは窓の断熱改修が良くないということではなく、「窓以外の部位の断熱バランスも考慮し、換気対策も重要である」ということです。
ここから「住宅新報Web」より、ニュースの転載
エコP特需に沸く窓改修意外な落とし穴にご用心
〝窓以外〟で結露も喚起を習慣付けて防止
10年3月より開始された、住宅エコポイント制度。
リフォーム分野のポイント累計発行数は、10年12月末時点で20万9213戸に達した。
特に窓の断熱改修の割合が大きく、リフォーム全体の64%を占める。ただそこには、思わぬ〝落とし穴〟もあるようだ。
窓を断熱改修する際の手法は3つ。
(1)内窓(インナーサッシ)設置
(2)ガラス交換
(3)サッシ交換
だ。内窓「プラマードU」を販売するYKKAPによると、10年4月以降、売り上げは前年同月比約4倍のペースを維持しているという。
窓は、住宅の中で熱損失が最も大きい個所だ。
断熱性を高めてその損失を抑えれば、省エネ効果が最も発揮され、光熱費も削減できる。
省エネ改修における『窓』の重要性が一般に浸透したという意味でも、エコポイントは一定の役割を果たしたと言えそうだ。
だが、需要が盛り上がる一方では問題も浮上している。住宅・リフォーム情報研究所(東京都中野区)の赤羽嗣久代表によると、「(改修しなかった)ほかの窓や、押し入れ内部、壁が新たに結露した」という消費者の声が寄せられているという。
結露は、室内の水蒸気が冷たくなった窓ガラスやサッシに触れることで起こる現象。
断熱改修を行った窓は結露しにくくなるが、「部屋全体の湿気の総量は変わらない」(赤羽氏)ために、別の個所で結露が発生してしまうというわけだ。
トラブルを防ぐために、赤羽氏は「建物全体でバランスを取る必要がある」と指摘する。
改修する際はすべての居室の窓を対象としたうえで、壁や天井の断熱も併せて行うのが理想。
そして、それ以上に大切なのが『換気』だという。
空気を入れ替えることで室内の空気に含まれる水蒸気量が減り、結露しにくくなるためだ。
ただし、マンションは気密性が高いことから注意が必要。
排気するタイプの換気扇の場合、それを回すだけでは空気がこもってしまい、シックハウス症候群やアレルギー症状をも引き起こしかねない。
赤羽氏は、「特にマンションの結露防止のためには、こまめに窓を開けたり、加湿器の使用頻度を減らしたり、と生活習慣を見直すことが大切」と助言する。
1月からはポイント交付対象の拡充も行われ、引き続き需要が見込まれる住宅エコポイント。
政策の恩恵を享受する権利は誰にもあるが、改修した結果、居住環境が損なわれるような事態が起きてしまっては本末転倒だ。
商談に活用する際は、正しい知識に基づいて提案する姿勢が求められるだろう。