こんばんは!「一年前の自分を恥ずかしく思え」という言葉に刺激を受けた聖士です。今の自分が過去の自分よりも成長していないと恥ずかしいと思うことができないので、今の自分を常に超え続けろということだと自分なりに解釈しました。他人との比較は必要のないことかもしれませんが、自分自身との比較は成長するうえでとても大切なことだと感じております。
伊勢崎の新築現場は室内のボードを張り終わり、内装屋さんや外構屋さんなどの仕上げ工事へと入っております。
ボード張りは長さを測って切ってビスで留めていくという単純な作業ではありますが、ボードを留めるための下地が必要であったり、なるべく無駄のないようにボードを使う工夫であったりとやることは多いです。
今回は大工さんの原田さんが切る作業までやって、僕は黙々とビスを留めるという役割で進めていきました。ボードを張って壁を作ると部屋ができるので、今までの柱・梁の構造が見えていたものと印象がとても変わります。今回のお宅は『MIRAIE』という制震ダンパーを室内の壁の中にいくつか設置してあります。
そのダンパーが全て見えなくなってしまうのはもったいないし、地震が来た時にそれがどのように作用しているのか見てみたいというお施主様の意見などから一部だけ見えるような計画となりました。
中澤さんと原田さんは吹き抜け部分の壁に板を張っていたので、僕がダンパーの後ろ側に板を張りダンパーが見えるように枠を作るという仕事を任されました。わからないことは教えてもらいながらですが、見栄えなどは自分の責任となる作業です。
初めての枠作りで、しかも壁や天井内に隠れずいつも見える部分の施工なので繊細な作業を得意としていない僕としては結構プレッシャーがかかりました。杉板張りは、ビスを留めるときドライバーのビットがダンパーにあたってスムーズに打つことができなくて手こずりました。杉板にもダンパーの一部が当たってしまうので杉板の一部を欠いて一度納めましたが、欠いた部分が見えてしまうので納め切った板を外し、欠き方を変更してもう一度納めました。
中澤さんに「せっかくだから納得のいくいいものを作ってみようよ。」と言われましたが、時間がかかって納まったものを再び納められる自信がありませんでした。「まじか~。またこの細かいところを繰り返すんか。」と思いましたが、「でも見た目が悪いままだとずっと気になっちゃって気持ち悪いな。」と考え再び手こずりながら納め直し、気になるところはありましたが、最初よりきれいに納めることができたので気持ちよく次の作業に移りました。
板を張った後は枠を入れるための下地作りです。野縁で下地を組みますが深くビスを入れてしまうと割れてしまったり柱や梁の面から少し凹んでしまったり、浅くするとしっかりと固定できていなかったりと下地作りにもだいぶ苦戦しました。
多少凹んでても何の問題もないでしょと思っていましたが、ボードを張るときに影響が出てきてしまうんです。この作業は何のための作業で、次に何をするのかを分かっていないと細かいところまで気が回らず、やり直すはめになってしまいます。やり直しは作業効率の悪化につながるので常に先のことを考えながら気を使って作業すべきだと感じました。この下地を組んでいる頃、杉板を張るところからうまくいかないことが多く、時間が過ぎていくだけで作業が進まない自分の作業効率の悪さに呆れてきておりました。
それでもくよくよしていられません。枠を入れないことには次の作業が進まないのでやるしかないんです。下地を組んだ後は枠の作成です。大工さんが窓枠や建具枠を作っているのは見たことがありますが、実際にやるのは初めてでした。大工さんはあっという間に作ってしまうのですぐにできるもんだと思っていましたが、思うがままに作った枠を中澤さんに確認していただいたところ、いくつも問題点がありました。
・面を取ったところ同士を合わせて作ったせいで、ちゃんとくっついていても隙間が空いて見えてしまう。
・下地の長さに合わせて作ったせいで、多少直角がずれていた。
材料が余っていたので中澤さんのアドバイスを受け、枠を再び作成しました。作業を見ているだけなら手順は覚えられますが、実際に手を動かさないと何を気にして作るかまでは気づくことができないですね。
先週の中澤さんのブログでは「僕が見落としていた大切な内容が松島君の目には見えていた」という内容を書いていただきました。僕は初めての枠作りでしたが1から100まで全て教えてくれたわけではなく、「ここが見えるように作ってほしい」というイメージを最初に中澤さんから伝えられました。自分なりにお施主様家族全員が見えるようにと考えて位置を決めた結果、完成後に中澤さんから「いいね!」と言っていただいたんです。
建物の中のほんの一部を作る作業にほぼ一日かかってしまい、簡単そうにやっているけど相当考えることも技術も必要なんだなと思いました。うまくいかず不満が溜まっていましたが、言われたことだけをやるのではなく自分で考えてやってみるという経験をさせていただいたおかげで学びの多い時間となりました!
しかし、見ているだけでできると甘く見ていたこと、不満が溜まってしまった自分がいたことに恥ずかしくなった日でもありました。
設計士が納まりを考えることも、施工者が納まり通りに施工することもとても大変な作業であると最近実感しております。見た目の良い納まりで機能の面でも良い『機能美』というものを中澤さんに教えていただきました。
施工は楽だけど見た目が良くない、見た目はきれいだけど施工に時間がかかるというどちらか一方だけが良いということはよくあることだと思います。
施工も大変過ぎず、見た目もキレイという納まりを学ぶことができるのは現場が一番の勉強場所です。実際に体験する・自分の目で見てみることで初めて誰が見ても『機能美』というものが出来上がりそうな気がします。納め方は百人いれば百通りあるから正解はないです。だからと言ってなんでもいいというわけではなく、やりやすくかつ美しい方法を協力して考えることが大工さんにとっても設計者にとってもお客様にとっても気持ちが良いのではないかと思います。
先日は伊勢崎市にある剛工務店の生形剛さんの建築中であるシェアスペースに伺い、生形さんのこだわりと技術が詰まった素晴らしい空間を見学させていただきました。僕は細かい納まりは勉強中ですのできれいな納め方まで見る余裕はありませんでしたが、見た目は端から端まで美しかったです。こだわりのある空間を作るってこういうことなんだと思いました。生形さんのように自分が好きで自信をもってお客様にお勧めできる建物・暮らし・素材を突き詰めていきたいです!
↑剛工務店シェアスペース
ブログを読んでくださりありがとうございます。
アウトプットの練習中 松島聖士