冬は暖かくは勿論、夏は涼しい家にするパッシブデザインのポイントを解説します。
高気密・高断熱の住まいは、夏の熱が室内に籠るため、夏が欠点であると
よく言われていますが、それは断熱性能のみに偏っているからです。
夏場、日中の高温外気が室内に入り込む一番の基は、
窓を通しての熱が一番です。
断熱性能の劣る住まいの場合は窓に限らず、
屋根・天井そして外壁からどんどん熱気が入り込みます。
しかしQ値1.8レベルの住まいであれば、外気をほぼシャットアウトしてしまいます。
さて、そのQ値1.8の高断熱の住まいが、窓から一旦熱気を取り込んでしまうと
室内のその熱気がなかなか逃げにくいという、夏場の欠点が現れます。
そこでパッシブデザインの手法が重要となるわけで、
「軒の出は深くする」ことです。
夏の日中は太陽の高度が高く、軒の出(南面)を深くして日射遮蔽します。
またこの深い軒の出も冬場は、太陽高度が低いので日射取得ができます。
南面以外の面でも軒の出を深くすれば、降雨に気を使うことなく
窓を開放しておくことが可能となります。
勿論、風の抜ける窓の配置計画も重要であり、それもパッシブデザイン手法の一つです。
夏の高温多湿と雨の多い日本では、元もと軒の出を深くして過ごし易い
住まいとしていたのですが、欧米のデザインを真似した軒の浅い住宅が
いつの間にか主流となってしまいました。
軒の出を深くすることは、ごく当たり前のことなのですが、
デザイン性と屋根のコスト削減のために、軒の出を浅くしてしまえば、
それはとっても大きな差となって、夏の暑さや建物の耐久性にかえってきます。