先日、林野行政の元内閣審議官、林野庁の官僚、
群馬県森林保全部の課長さん達を交えて「将来の林業を考える」座談会があった。
林野庁の予算がここ数年で、6,000億円から2,800億円に削減され、
一昔前のように補助金をばらまくわけにいかないと言う。
そして、やる気のある森林所有者に国は応援すると言う。
それはごもっともな話であり、やる気のある林業家は
「補助金に頼らず自立できる林業」を目指して努力はしているはずだ。
しかし、今回の森林経営計画による団地化への補助金は、
団地化として条件の整った所に救いの手が伸び、
やる気があっても落ちこぼれとなる場合が十分に考えられる施策である。
この事に関して元内閣審議官、
今の段階は成功例を示して、次の段階でそれに続けば良いのだと、簡単に言う。
とにかく「ドイツに学べ!」である。
勿論、ドイツに学ぶところはあるはず。
機械化して効率化を図る。
一見、なるほどと思える。
しかし急峻な地形の日本の(群馬の)森林では、
やり方を間違えると、大した効率化にはならずに「山壊し」となる。
群馬における木材の年間素材生産量は「20万㎥」である。
そしてお隣の栃木県では、約二倍の「40万㎥」だそうである。
両県とも木材の蓄積量には、そう違いはない。
この違いを単純に考えれば、
木材の伐採・搬出の手間の掛かる差であると思う。
栃木の山は全般になだらかで、搬出に経費が掛からない。
一方群馬の山は急峻で、搬出に経費が掛かるのである。
昨年、矢板の森林を視察に行ったが、
山というより丘陵である。
これなら補助金を充てにしなくてもやって行けるほどで、
林業の活力も湧いてくると感じた。
隣接の両県であっても、このような大きな地域差があるわけで、
日本の山を一口にまとめて、ドイツに学べと言うのは無謀な話である。
話が最初の戻るが、林野庁の国家予算2,800億円のうち、
間伐などをはじめとする直接の森林整備に使われる予算は
10%に満たないそうです。
その予算を、
木材生産の効率化と、生産量の増強に走る現在の林野行政です。
そこで、治山治水といった環境面での除間伐が疎かとなり、
今後は自然災害被害の拡大も心配になってきます。