今年度から国の森林整備計画、いわゆる林業への補助金制度が変わろうとし、地方の山林所有者は困惑し、森林のますますの荒廃が懸念されています。
材木価格が低迷を続ける中、育林や間伐などの森林整備を進める林業者にとって、それらの森林整備への補助金なしでは、林業が立ち行かなくなっています。
下草刈りや枝打ち・除伐は木を育てるための作業で、当然収入は見込めないわけですが、間伐の場合も伐り出しを素材生産業者に依頼すれば、材価の殆どは伐り出し代となります。
間伐の間引き作業は、林内に適当な光を入れ健全な森林を保つために重要な施業であり、山林所有者が個々に「森林施業計画」を立て、ある程度はそれに基づいて森林の整備が行われてきた。
そして、これまでは間伐の補助金が国や県から出ていたので、その分が山林所有者の身入りとなり、どうにか間伐による山の手入れがなされてきたものです。
しかし今年度から、その森林整備に関わる制度が「森林経営計画」に変わり、施業計画が個々の単位から、100ha程の広い一山のエリアを一つとしてまとめ、きちっとした施業計画をたてていかねば、補助金が出ない仕組みに変わろうとしている。
この計画の発想基は、ヨーロッパのドイツが森林を集約し林業経営を行い成功した事例を基に、それを日本にも当てはめようと、
「材価の高騰を期待するより、森林整備を集約して路網の整備や、高効率作業機械により、伐り出しに掛かる経費の削減により、林業を再生する」という机上の発想によるものである。
菅内閣の林業再生政策におけるブレーンであったK氏が主導して作成した計画制度であろうが、課題が多く、話を聞いただけで尻込みしてしまう山林所有者が殆どである。
森林の所有形態や山林の地形的に、この計画が当てはまり上手くいく所も一部はあるかもしれないが、群馬のような小規模の山林所有者が多くのところでは、一団地の森林エリアにまとめることがまずは困難であり、しかも急峻で入り組んだ地形の山林の多い群馬では、集約したところでそれほど効率を高めることはできないのである。
さて、これから林業にその制度が如何に定着できるか、スタートが切られようとしています。