こんにちは。
無垢の木と塗り壁とパッシブデザインの家づくりを進めている、
群馬県みどり市の松島匠建(株)の代表松島克幸です。
窓は、ガラス部とガラスを固定するフレーム部から成り、最近は省エネ性能を重視するために、ガラスは「Low-eガラス」そしてフレーム部は「樹脂」又は「木製」が普及しているところです。
樹脂サッシが普及している地域は、寒さの厳しい北海道は当然とも言えますが、次いで九州が多いのですが、その理由には、アルミより樹脂の方が火山灰への耐久性が高いということです。
「樹脂サッシってアルミと比べ耐久性どうなの?」という質問を頂きますが、その実績は30年以上のものとなっていますので、ご安心ください。
アルミサッシが主流であった日本の窓は、断熱性能に劣り結露のもとともなり、韓国や中国、そして欧米の窓に比べ、窓の性能には大きな遅れを取っています。
弊社松島匠建では、樹脂サッシを標準仕様とし、断熱に関しては屋根壁共に、外張りと充填ダブルの付加断熱を採用し、真夏は無冷房でも30土以上にならず、真冬は無暖房でも15℃以下にならない造りであります。
4年ほど前のブログで、この「窓の種類」について特集記事を綴りましたが、一部加筆修正を行い、その総集となっています。
「横すべり出し窓」
すべり出し窓(横すべり出し窓)
すべり出し窓は外側に開放する窓であって、
上側を軸に外に開放するすべり出しが「横すべり出し」
左右どちらかの縦を軸に外に開放するすべり出しが「縦すべり出し」
そして単に「すべり出し窓」といえば「横すべり出し窓」のことです。
このすべり出し窓は比較的小さな窓で、
高窓として効率の良い採光が可能です。
大きく開放することはできないため、風の取り込みは他の窓に比べて少ないのですが、
「開けっ放しで雨が降った場合、雨の侵入が最も少ない」ことが、
このすべり出し窓の大きな特徴です。
桐生市S様邸脱衣室のすべり出し窓
小型で気密性に優れているすべり出し窓は、
夏場の西日と冬場の北西季節風に対応できる、西面、北面の腰窓に最適です。
外観デザイン的には縦長窓の方が良いと思うのですが、縦長窓の欠点は
外から足元まで姿が映ってしまうこと、物を置き難いこと、でしょうか。
それをカバーできるのが横すべり出し窓でもあります。
横すべり出しは窓が大きく開かないので、内部から外側窓の掃除が出来ないように思われていますが、60度まで開放できる掃除モード機能があります。
外開きなので防犯のための格子の設置はできませんし、
網戸は内側になります。
価格的には、引き違い窓の1.3~1.8倍程度。
(窓の開閉にカムラッチハンドルとオペレータハンドルの2種類があり、
オペレータハンドルの方が価格高)
日本では小型の窓で、大きく開放することのできないすべり出し窓ですが、
北欧ではこのすべり出し窓が一般的で、窓の大きさも大型のものがあって、
90度近く開放もできます。
日本のすべり出し窓とは全く感覚が違う、北欧の「すべり出し窓」ですね。
「縦すべり出し窓」
太田市H様邸ランドリールームの縦辷り出し窓
「縦すべり出し窓」はドアのように左右どちらかの縦枠を軸に
外側に開放する縦長の窓です。
この縦すべり出し窓の一番の特徴は、
窓開口の全開角度が90度近くまで開くため、風の取り込みに適した窓であって
風の吹く角度によっては風を取り込む(ウインドキャッチ)事が出来
より多くの通風が期待できる窓です。
館林市M様邸の縦辷り出し窓
群馬の平野部は、夏場日中には南東の風(卓越風)があり、
東や南にこの縦すべり出し窓の設置で、風を取り込む事が可能になります。
また、上げ下げ窓と同じく縦長のデザインなので、
等間隔で複数窓の配置によって、おしゃれなデザインもつくれます。
二つの縦すべりを組み合わせた両縦すべり出しや、
縦すべり出し窓より更に縦長の「スリット縦すべり出し窓」もあります。
大きく開口する縦すべり出し窓
両開きの両縦すべり出し窓
FIX窓 + 両袖縦すべり出し窓
スリット縦すべり出し窓
価格面では、例えば横600×縦700の横すべり出しと、縦すべり出しの比較では、
縦すべり出し窓の方が、若干安価になります。
「オーニング窓」
この窓は「(横)すべり出し窓」2~4組を縦に連結した窓であって、
複数の窓を一つのハンドル操作で開閉できる窓です。
最高50度までの開閉位置を自由に決める事が出来、
プライバシーを守りながら通風を確保できます。
また気密性にも優れた窓です。
価格は
上げ下げ窓やすべり出し窓の約2倍と大変高価な窓
です。
「ダブルルーバー窓」
オーニング窓と違い、枠のない横細のガラスを組み合わせた窓です。
シングルガラスのルーバー窓は気密断熱性能が悪いため、
ダブルガラスのルーバー窓を紹介しています。
開口率が高いので、風の取り込みは期待できますが、
外観デザインは良いとは言えません。
窓を閉じた時、ガラス同士が密着となるため、気密性は悪いです。
価格はガラスの種類によって違いますが「網入り透明ガラス」が最も高く、
オーニング窓と同じくらいの価格になります。
オーニング窓もダブルルーバー窓も少ない流通なため、
YKKの樹脂サッシ「APW330」にはラインアップありません。
「上げ下げ窓」
太田市K様邸リビングルームの上げ下げ窓
上げ下げ窓は縦上下スライドの引き違い窓ですね。
上げ下げ窓には2種類があり
上側の窓が、はめ殺し(FIX)になっていて
下側のみ動かせるものを「片上げ下げ(シングルハング)」
上下のガラス戸が両方とも動かせるものを「両上げ下げ(ダブルハング)」
また、窓がどこでも止まるよう「バランサー」がセットされています。
(バランサーの調節が2年に一回くらい必要)
欧米ではごく一般的なこの「上げ下げ窓」ですが、
引き違い窓と違って「戸車」がないので、気密性は高いと言えます。
(ただし、すべり出し窓よりは劣ります)
また、オシャレな格子デザインのものもあります。
コスト面は窓面積が同程度の引き違い窓に比べて高価になります。
6尺間に設置するには、下のように2つの窓を組み合わせた連窓になります。
この上げ下げ窓を多用するとコストアップにはなりますが、
外観的にはオシャレな洋風デザインになります。
配置的には、縦長の窓なので高窓にはならず腰窓となり、
トイレや洗面所など小さい部屋には不向きですね。
また上げ下げ窓は、窓の開閉に多少の力が必要となります。
「引き違い窓」「片引き窓」
窓と聞いてまずイメージするのは、「引き違い窓」でしょうが、
最後はその「引き違い窓」そして「片引き窓」についてお話します。
テラス窓の「引き違い」(左側)と「両袖片引き」(右側)太田市H様邸
日本の窓で最も多く使われれ一般的である「引き違い窓」は、
大きい窓から小さい窓まで寸法が豊富で、コストが安いのが特徴です。
この「引き違い窓」は左右に引き分け、
窓を開けると窓面積の約半分の開口が取れます。
「片引き窓」の場合は、約3分の1の開口となります。
片引きの大きい方の窓は「FIX部分]と思われがちですが、
実はこちらも開閉が可能です。
邑楽町M様邸の腰窓の片引き窓
「両袖片引き窓」というものもあり、
これは引き違いの4枚戸の真ん中2枚が一つになったFIX窓に、
両側に片引き窓があるものと考えてください。
これら「引き違い・片引き」の長所は、
開口の大きな窓がつくれることで、特にテラス窓(掃き出し窓)の
殆どはこの「引き違い・片引き」の窓となります。
そして、窓が左右への開閉(開けた時に窓部分が外に突出しない)なので、
雨戸、シャッター、面格子などの取り付けが可能なことです。
短所は、小さな窓の場合にガラス部分に比べてフレームの割合が多く、
フレームが目立ち、デザイン的には良くないものと、感じます。
そしてもう一つの欠点は、「気密性が悪い」ことです。
引き違い窓は、左右への開閉のために戸車が付いているので、
窓枠と窓の間にどうしても隙間ができてしまいます。
シングルガラス時代の引き違い窓に比べれば、気密性はかなり向上しては
きましたが、ほかの種類の窓に比べれば気密に劣ります。
群馬県南部平野部の、冬季北西の季節風が強くて砂埃の激しい場所では、
北面と西面の窓には、この引き違い窓の配置はお奨めできません。
以上、窓の種類とその特徴についてのお話しでした。
最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
松島匠建では、 窓一つ一つにおいても「東西南北の向き、部屋の用途、窓の種類・大きさ、デザイン性、春夏秋冬においての採光・日射」など複合的に考慮して、最適な窓を選択し、お客様が納得して大満足のお住まいとなるよう、家づくりを進めています。