047月

木のこころ

木を育て、木を伐り、製材そして乾燥し、家の材料として木材を
山から家までの間に関わりを持っているわたしです。

そして木の家づくりを学ぶメールセミナーをも配信してますが、
その中から私どもの家づくりを象徴するセミナーの一つを紹介します。

リビング梁男

 (メールセミナー「木のこころより」)

『ぼくは沢入(そうり)育ちの杉の角材で、
今年、桐生の川内町のSさんの家で、丈夫な建物を造る構造材の一部として
大切な役割りを頂いた一階リビング上の「リビング梁男」です。

えっ!何で「梁男」なのかって。
木材には「背と腹」があることを知っていますか。

簡単にいえば、むくりのある部材の凸側を「背」、
その逆の凹側を「腹」といいます。

斜面地に生える立ち木の場合は、
谷側は木目が硬く年輪が密で「背の側」となります。

そして山側に反り気味に育って「腹の側」となるのです。

上からの荷重を受ける「梁や桁」などの横架材は、背を上にして使い
これを「男木(おぎ)」というので、梁材のぼくは「梁男」です。

今のおうちは、ぼくたち梁や柱の構造材を、壁や天井でおおってしまい
隠れて見えなくなってしまいます。

でもこのおうちは、大工さんがぼくたちみんなをかんなで削ってくれて、
見えるようにあらわし(現し)になっているので、
とても気持ち良く呼吸ができています。

それにこうして構造材現しは、ぼくたち丈夫で長持ちしますし、
もし、どこか悪い状態となれば、それがすぐに分かることもできるわけです。

ぼくたち木を活かして使ってくれているこのおうちですが、
ここのご主人Sさんも、ぼくたちのことを「この子、あの子」と言って
とても可愛がってくれるので、毎日がとても幸せです。』


近頃テレビで、動物と話ができる外国の女性が話題となっていますよね。

もし、木のおしゃべりが聞こえるようであれば、
きっとこんな話をつぶやいているのかも知れませんね。

まあ、木がお話することはできなくとも、木は山で木として生きていて、
伐採して木材となってもなお生き続け、私たちの暮らしにつながっています。

そんな生きている木材を活かすも殺すも、
私たち人がどう活用するかで決まります。


日本では、昔から木の住まいで暮らしていました。

現在でも多くの人たちが木造住宅を望んでいます。

そしてその住まいに使う木は「地域の気候風土で育った木を使う事が一番」
それは今も昔も変わりはありません。


しかし今、日本の木造住宅に日本の木は、2割前後しか使われていません。

わたしたちの近くの山に、使うべき木材が沢山あるのに、
わざわざ外国から多くのエネルギーを消費して運んできた木を使っています。

日本の木が高いからではありません。

人の手によって植えられた木は、
人の手により下草刈りや間伐などの管理が必要なのです。

しかし管理されることなく放置される山が多くあるのです。
放置された山は、森林の持つ治山や保水の機能が低下し、
川下にも災害をもたらすことになります。


幼い頃から父に連れられて山に入っていたわたしは、
木を育てる苦労や、木の優しを知っています。

20年前に、そんな木を活かして使うことがわたしの使命と感じ、
地場の木材にこだわり、「地産地消の木の家づくり」進めてきたわたしです。

Posted in 工務店ブログ!ちょっとオシャレで贅沢な木の家づくり

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